Ⅰ.解答の単位
問題が「力を求めよ」であったとすると、次の答は誤りです。
(どんな問題なのかわからなくても、間違いと判断できます。)
\(\frac{2m}{m+M}g\) あるいは \(mr\omega\)
\(\frac{2m}{m+M}\) は、\(\frac{質量}{質量}\) の形なので、\(\frac{2m}{m+M}g\)は[加速度]を表しています。
\(r\omega\)は[速さ]なので、 \(mr\omega\) は[運動量]を表しています。
どちらも、「力を求めよ」の答ではないことがわかります。
このように、答えの単位(あるいは文字の構成)を意識することで、ミスが発見できる場合があります。
ミスの種類は立式時のミスや計算ミス、
特に、分数での約分ミスや、答に転記するときのミスです。
答えをざっとみて判断できるようにするには、
慣例的に使われる文字を慣例的な文字の順番で使うことです。
質量を\(a\)や\(b\)で表して、
\(\frac{2a}{a+b}g\) あるいは \(\omega br\)
では、何を表しているか、
瞬時にはわかりません。
Ⅱ.計算の途中
単位(あるいは、文字の構成)を意識すると、計算途中でミスを発見できる場合があります。
計算の途中で次のような式が出たら、ミスがあったと考えましょう。
\(2+g\) あるいは \(mr\omega^2+Mr\omega\)
\(2+g\) の\(2\)は、単位を持ちません。
(ただし、まれに、何らかの定数として単位を持つ数値があります。)
また、\(g\) は加速度です。
そして、単位の異なる\(2\) と\(g\) を足し合わせるという式は、あり得ません。
ミスしたと、考えましょう。
\(mr\omega^2+Mr\omega\)も同様に、ミスをしています。
Ⅲ.\(\sin\)、\(\cos\)
三角関数の単位はなんでしょう。
\(\sin \theta\)、\(\cos \theta\) や \(\tan \theta\) は、直角三角形の各辺の比として定義されるので、
単位はありません。
それでは、変数の\(\theta\) の単位はなんでしょう。
角度を弧度法で表していることがわかるように[rad]を使いますが、基本的には単位はありません。
したがって、\(\sin \omega t\) は正しくても、、\(\sin t\) は謝りです。
\(\sin\) の中が単位を持つ式になってしまったら、ミスしたと考えましょう。
また、\(\sin \theta=f\) という式があったなら、\(f\) は単位を持たない式になるはずです。
ところで、
\(x\) の正の向きに進む正弦波の式は、
\begin{equation} y=A\sin\left\{2\pi \left(\frac{t}{T}-\frac{x}{\lambda}\right)\right\} \end{equation}
この式でも、\(\sin\) の中身には単位なし、です。
時刻\(t\)[s]、周期\(T\)[s]、位置\(x\)[m]、波長\(\lambda\)[m] ですから
1周期の時間が経過すると、\(\sin\)の中身(つまり位相)は、\(2 \pi\) 進みます。
1波長分の距離離れた位置では、位相差は\(2 \pi\) です。
正弦波の式もこのように考えると、覚えやすくなります。
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