Ⅰ.読み間違いのない文字を使う
数字の\(1\)とアルファベットの\(l\)、
数字の\(6\)とアルファベットの\(b\)、
数字の\(9\)とアルファベットの\(q\)
アルファベットの\(k\)とアルファベットの\(h\)・・・
のようによく似た文字が幾組かあります。
これらの文字やアルファベットを同時に使う場合でも違いを区別できるように書きましょう。
時間が足りなくて急いで書いたときには、
ふたつの文字が似てしまったことで、計算ミスにつながることがあります。
また、正解であっても、採点者が文字を区別できなければ、
誤答と判断される場合もあります。
自分で書き慣れている文字の形は、急には変えられないので、
似ている文字は、区別できる形で書けるように訓練しておきましょう。
特に、文字の混同による計算ミスを経験した場合には、
文字の形を変えることを検討しましょう。
Ⅱ.立式の意図がわかるように式を表現する
右図のように質量\(m\)の物体が自由落下している場合を考えます。
\(x\)軸を鉛直方向、下向きを\(+x\)向きとします。
\(O点(x=0)\)で速さが\(v_o\)のとき、\(x=h(h>0)\)での物体の速さ\(v\)を求めます。
重力による位置エネルギーの基準を点\(O\)にとり、
力学的エネルギー保存則の式を表すと、
\begin{equation} \frac{1}{2}mv_o^2+mg\times 0=\frac{1}{2}mv^2-mgh \tag{2-1} \end{equation}
"力学的エネルギー保存の式"として表現する式は上のようなものが適切です。
ここで、"\(mg\times0\)"はなくてもOKです。
"\(-mgh\)"は、"\(+mg(-h)\)"でも、"\(+(-mgh)\)"でも良いです。
しかし、
\begin{equation} mv_o^2=mv^2-2mgh \tag{2-2} \end{equation}
は、(2-1)式と等価ですが、
"力学的エネルギー保存則の式"として書くには適切ではありません。
運動エネルギーは"\(\frac{1}{2}mv^2\)"であって、"\(mv^2\)"ではありません。
位置エネルギーは"\(2mgh\)"ではなく、"\(mgh\)"です。
つまり、"力学的エネルギー保存則より"と書いたときには、(2-1)式が正しい式です。
また、
\begin{equation} \frac{1}{2}mv^2-\frac{1}{2}mv_o^2=mgh \tag{2-3} \end{equation}
も、(2-1)式と等価な式ですが、
この式は、「位置エネルギーの差が運動エネルギーに変わった」、あるいは、
「重力が\(mgh\)の仕事をしたことにより、運動エネルギーが\(\frac{1}{2}mv_o^2\)から\(\frac{1}{2}mv^2\)に
変化した」ことを意味していると考えられます。
したがって、"力学的エネルギー保存の式"として(2-3)式を書くのも適切ではありません。
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